●大ヒットの台湾映画『海角七号』がウケる理由(2008/09/18)
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巨匠・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督が「こんな台湾映画を待っていた」と絶賛したという。台湾では異例の40館以上で上映され、興行成績がうなぎ登りだという。だが、そんなことはこの際、どうでもいい。観れば納得なのだ。この『海角七号』がこんなにも台湾でヒットしている理由が。
とは言え、まだ日本での公開は未定なので、少々、お話申し上げます。
『海角七号』は、音楽を柱に、台湾南部の海辺の町で起こる騒動を映しながら、日本と台湾の時間とボーダーを超えた愛を描き出した作品。若者が都会に出て行ってしまう田舎の町を活気付かせようと組まれたバンドのメンバーが、生意気な小学生から目立ちたがりの老人、尖がった元ミュージシャンまで、ばらばらのバックボーンを持つ人々だったことから、このバンドの取りまとめ役を頼まれた日本人女性、友子の苦悩と苦笑の日々が始まるのだった。
友子を演じるのは台湾を拠点に活動する日本人女優の田中千絵。台北で夢に破れ、田舎に戻った元ミュージシャンの阿嘉(アカ)役を、男性歌手、范逸臣(ヴァン、=写真左から3人目)が演じている。はじめは反目し合う2人だが、友子が阿嘉の部屋で偶然、日本から寄せられた宛先不明の小包の中にあった手紙を読んでしまったことから、2人の運命は動き始める。その手紙は敗戦で引き上げることになった日本人教師が、台湾で愛し、残してきてしまった女性に宛てたものだった。
商業的な長編映画はこれがデビュー作となる魏徳聖(サミュエル・ウェイ)監督は、台湾の南の街のピュアな人間たちのドタバタ劇と、行く宛なくさまよう後悔の念を巧みに織り交ぜていく。
戦争がからむ話だからといって説教臭さはなく、日本人がヒロインだからといって、彼女が絶望的な災難やこっけいなまでの称賛に遭うこともない。台湾の普通の人々が感じることや、面白いと思うツボ、小ネタを丁寧につなぎ合わせて、新鮮な角度から見せているからこそ、現地の人たちに支持されるのだろう。
泣きながら、笑いながら、観終わった後にはなぜかハッピーな気持ちにさせてくれる『海角七号』は、ほんのり甘くて飲み口さわやか、後味すっきりの「馬拉桑(マーラーサン)」のようなのだ。「馬拉桑」って何かって? ……答えはやっぱり、『海角七号』を観てください。(編集担当:恩田有紀)

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