●『胡同愛歌』父と息子の不器用な愛情物語公開(2007/05/08)
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北京の胡同に暮らす父と息子の間の不器用な愛情を描き、第28回モントリオール国際映画祭で審査員大賞を受賞した中国映画『胡同愛歌(原題:看車人的七月)』が28日から、東京・ポレポレ東中野で公開される。監督は中国の普通の人々の気持ちを同じ目線から描き出すことで定評のある安戦軍(アン・ジャンジュン)監督。4月初め、PRのために来日した監督に話を聞いた。
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―原題の『看車人的七月』と邦題の『胡同愛歌』はかなりニュアンスが違いますね。
 「邦題はとてもいいですね。原題は分かりやすいのですが、『胡同愛歌』というタイトルはイメージが膨らむような含みがある。北京オリンピック前の再開発で胡同はどんどんなくなっているのですが、日本の人々も北京の胡同の文化や、私たち中国人が『胡同』という言葉の響きに感じるノスタルジックな思いなどをよく知ってくれているようですね」
―監督は北京のご出身なのですか?
「北京生まれの北京育ち、純粋な北京人です」
―この映画の中の人物たちの性格、例えば人情に厚くおっとりしているようだけど思いつめられると周りが驚くような行動をしてしまうような父親の杜もそんな北京人気質を映したものですか?
「そうでもないですよ。映画の中の役柄などはストーリーに沿って私が決めたものなんだと思います」
―北京五輪に向けて北京の町はどんどん変わっているようですが、人々の気持ちに変化はあるんでしょうか。
 「五輪の開催が決まった01年からだんだんと気分は盛り上がってきています。経済的にも順調ですし、タクシーやバスの表示などは国際的になってきた。タクシーの運転手たちも英語の習得に努力していますよ」
―北京の人々の優しさや人を思いやる気持ちなどには変化はありませんか?
 「基本的には変わっていないと思います。社会は発展しても中国人は礼儀を忘れていない。中国政府は今、『和諧社会(調和ある社会)』をスローガンに政策を進めていて、国民も、みんなが幸せで譲り合いの気持ちがある社会の実現を望んでいるんです」
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―主演で父親役を演じた範偉(ファン・ウェイ)はもともと、漫才師でコメディアンとして活躍しているタレントさんです。なぜ彼で映画を撮ることになったのですか?
 「よく質問されるのですが、答えはとても簡単。この役を演じるのは彼しかいないと直感したからです。ファン・ウェイには、『できる?』と聞いて、『できます』という答えをもらったから、ただ、『普通の飾り気のない父親を演じてほしい』と伝えました。
 私はいつも役を決めるとき、オーディションなんてしません。1回会って、映画の話ではなく、その人の普段の考え方などを聞いて、いいなと思ったら即、決定。息子役の張〓迅(チャン・ウェイシュン)も当時まだ高校生でかなりやんちゃだったんですが、この役にはぴったりだった。話をしてそれが分かったので、彼に決めました」(〓は火へんに韋)
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―今回、日本での一般劇場公開は初めてですね。一番観てほしいのはどんなところですか?
「人と人の関係を大切に、ということ。日本人でも中国人でも、人間的な感情は同じですから、きっと感じてもらえることがあると思いますよ」
【胡同愛歌】
  北京の路地裏・胡同に暮らす杜(トウ/ファン・ウェイ)は、高校生の息子小宇(シャオユー/チャン・ウェイシュン)とつつましくも平穏な日々を送っている。息子は成績が悪い上に言うことも聞かず、2人は衝突してばかりだった。
 杜は花屋の店主、小宋(シャオソン/チェン・シャオイー)との再婚が決まっていたが、小宋と前夫の劉三(リュウサン/チャオ・ジュン)との離婚の協議が正式には成立してなかったことを知る。刑務所あがりの劉三は2人の再婚を阻もうとあの手この手で杜らに嫌がらせを始める。その様子を見てたまらなくなった息子は、父親を思うあまり後先考えず小宋に出て行けと言ってしまう。今まで幸せに暮らしいていたのに、父さんを不幸にするな、と。杜も息子の気持ちを知らず、頭ごなしに怒ってしまう。お互いを思いやりながらも不器用な性格が災いし、二人はすれ違ってばかり。そんな中、劉三の嫌がらせは日に日にエスカレートしていき、追い込まれた杜はある方法で家族を守る決意をするのだった。
※『胡同愛歌』は4月28日から東京・ポレポレ中野にて公開。同時公開はドキュメンタリー作品『ニーハオ トウ小平』です。 【サーチナ・恩田有紀】

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