●阿部力「新作映画は大好きな犬が相手です!(2006/12/12)
(C)サーチナ&CNSPHOTO
ドラマ『花より男子』(05年、TBS)で「美作あきら」役を演じ、人気急上昇の若手俳優・阿部力(あべ つよし)くんが、日本で初めて主演した恋愛&ドッグファンタジー映画『イヌゴエ 幸せの肉球』が12月2日から渋谷と横浜で公開されている。中国・黒龍江省出身の24歳。彼の中に流れる血の4分の3は中国人で、中国大陸、台湾での芸能活動が長い。日本と中華圏を自由に行き来しながら、今後更に仕事の幅を広げていきそうな勢いの阿部くんに、新作映画と彼自身の恋愛観、仕事観について聞いてみた。
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――『イヌゴエ 幸せの肉球』は出て行ってしまった彼女を探す彼氏(阿部)と、彼女の声で人間語を話す犬のお話ですが、阿部さん自身は犬は好きですか?
「中国にいた頃、祖父の家でたくさん飼っていたので、大好きです。日本に来てからしばらくは飼っていなかったんですが、高2ぐらいに飼い始めたミニチュアダックスを今も飼っています」
――今回共演したペスくんはフレンチブルドッグですね。
「まだ生後4カ月だったので、何も分かってない感じで、バカっぽさがすごい可愛かった! オスで本当にやんちゃな子でしたね。撮影もなかなか言うことをきいてくれないからペス待ちが多かったんです。機嫌はいいんですけど、自分勝手なんですよね。動いてほしいときに動いてくれないとシーンが成り立たないから、食べ物や鳴り物で気を引いたりして、スタッフみんなで大変でした。今までの映画ではなかった経験ですね」
――日本の映画では初主演ということですが。
「すごくうれしかった! この映画が普通の人間相手だったらあまり自信が持てなくて不安だったかもしれないですけど、大好きな犬相手だから、何よりもうれしかったんです。監督には、ペスの反応に合わせて、台本どおりじゃなくてもその時その時で変えてもいいよ、と言われていたので、なんとかやれたと思います」
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――彼女への愛情をきちんと示そうとしないダメ彼氏、という役ですが、阿部さん自身が女性とお付き合いしたら、どんな感じでしょう?
「女性が思っていることで男性には解らないことっていっぱいあると思うんですよ。解ろうと思っても、男だからやっぱり解らないっていうか……。僕も、女性の気持ちを理解しようと努力はするんですけど、映画の中の凌みたいに、怒らせるつもりじゃなかったのに!っていうことはあるかもしれないですね」
――前に、阿部さんが日本人の女優さんと中国でデートするっている設定の番組を拝見したんですけど、その時は女性を優しくリードする姿が印象的でしたよ。
「う〜ん、どうかな……? 基本的には尽くすタイプなのかも」(照笑)
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――一緒に暮らしていた彼女に捨てられて、街をとぼとぼ歩いていたら、彼女の声で話す犬に出くわして、というのがペスとの最初の出会いですが、阿部さん自身は9歳の時、黒龍江省から日本に移住して来られたんですよね。日本に来たばかりの頃、戸惑ったり、寂しかったりした経験はありましたか?
「全然日本語が話せないし、どうやって友達を作ったらいいのかな、とか、ものすごく不安で……。初めて学校に行った日は一人だけ別世界にいるようで、耐え切れなくて泣いてしまいました。中国にいた時には日本語は全然話せなかったんですよね。でも子供だったから、遊びながら日本語を覚えました」
――その後しばらくは日本で過ごして、高校を卒業してから北京電影学院に留学したんですよね? それはまた、なぜ?
「普通に中国語を勉強するつもりで行ったんですけど、その学校がたまたま映画関係だったんです。中国語は話せてもレベルでいえば小学生程度だったんで、外国人が勉強するようなクラスで1年間、中国語だけ勉強するつもりでした。でも先生から『演技のクラスは中国人学生がほとんどだから、そっちの方がもっと中国語の勉強になるよ』と勧められて、そのクラスを受けることにしたんです。全然、演技をやろうとは思ってなかったんですよ。でも、友達ができてからはもう、楽しくって日本に帰りたくなくなってしまいました(笑) その頃の仲間とは最近はあまり連絡とっていないんですけど、どこかで僕の顔を見て、思い出してくれたりしたらうれしいですね」
――香港の陳果(フルーツ・チャン)監督の映画『人民公廁(PUBLIC TOILET)』にも出られたんですよね?
「初めて出た映画です。北京電影学院に入って2カ月ぐらいした時、寮で知り合った人が陳果監督が北京に来ているから一緒にご飯を食べよう、っていうことで行ったら、いきなり映画の話になったんです(笑) それから1カ月後ぐらいに撮影が始まりました」
――その映画がきっかけで芸能界入りした、と。すごい展開ですね! その後は台湾のCMやドラマなどで活躍されて、最近は日本がベースという感じですか?
「そうですね。今年は日本での仕事がすごく多いのでずっと日本にいます。でも特にどっちがベース、というわけではなくて仕事がある方にいる、っていう感じです」
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――05年には日本のドラマ『花より男子』に美作あきら役で出られましたね。日本の漫画が原作なんだけれども、台湾の方で早くドラマ化されて、日本に逆上陸みたいな形でしたが、日本の撮影の現場で台湾版のドラマを意識するということはなかったんですか?
「いや、まったくそれはなかったですね。日本は日本で、という感じでした。僕自身はその話をいただいた時、まだ台湾にいたから、すごくうれしかった。マネジャーから電話で知らされても、そんな役を自分がやるなんて、ウソだろう?って。でもプロデューサーさんがわざわざ日本から会いに来てくださって、だんだんと実感が沸きました」
――台湾のF4のメンバーと面識は?
「西門総二郎を演じた朱孝天(ケン・チュウ)さんとは仕事で会ったことがあります。まぁ、同じ仕事に関わっていた、っていうぐらいなんですけど(笑)」
――日本や中国大陸、台湾などでドラマや映画のお仕事をされていますが、場所によって違うな、と感じることはありますか?
「言葉以外、自分では特に違うとは感じていないんですよ。でも、日本で撮るよりはちょっとリラックスして、柔らかくなっているな、という気はします。向こうの撮影現場の方がラフなので。日本の現場ってすごくしっかりしているから、自分が失敗しちゃいけない、という責任を強く感じます」
――阿部さんは今、日本語と中国語、どちらを話す方が楽なんですか?
「う〜ん……、同じくらいかな? 中国語の台本を読む時に、日本語だったらどう言うかなって考えてやってみたり、その反対のことをやってみたりすることもありますよ」
――今後はどんな役者さんになっていきたいですか?
「やっぱり、いろんな国の作品に出たいですね。できれば中華圏だけでなく、もっと広いアジアとか西洋も含めて。中国の監督だったら張芸謀(チャン・イーモウ)監督や李安(アン・リー)監督が好きです」
――では最後に、日本初主演作となったこの映画の一番の見所、好きな所を教えてください?
「言いたいけど言えなかったりすることって、普段の生活でもありますよね。この映画では主人公の凌が言いたいことを言えるようになる過程で少しずつ変わっていく姿を見ていただいて、共感してもらえたらうれしく思います。あとは、なんといってもペスが可愛いので、肉球のぬくもりを感じていただけたら。ぜひ観てください!」
■阿部 力(あべ つよし) プロフィール■
1982年2月13日、中国・黒龍江省出身。母方の祖母が日本人で、9歳のときに日本へ移住し、その後、帰化。帰国前の名前は李冬冬(リー・トントン)。18歳で北京電影学院に留学し、1年間研修。02年9月から台湾の芸能事務所に所属し、05年8月からは中華圏での芸名を李振冬(リー・ジェントン)に改め、芸能活動を展開している。07年1月からはTBS系ドラマ『花より男子2』に美作あきら役で再び出演。趣味は音楽鑑賞、映画鑑賞、旅行、カメラに、犬・猫と遊ぶこと。
◆◆『イヌゴエ 幸せの肉球』◆◆
いつまで経っても頼りない凌(阿部力)は、長く付き合っている彼女の涼子(中村麻美)をイライラさせてばかり。ついに愛想を尽かした涼子は荷物をまとめて一緒に住んでいる部屋から出て行ってしまった。
彼女に捨てられ、街をとぼとぼ歩く凌。するとなぜかペットショップから涼子の声が……。声の主はなんと、涼子がずっと飼いたいと狙っていたフレンチブルドッグのペスだった。うろたえた凌は思わずペスを購入。そして一緒に涼子の実家を探す旅に出ることを決意するのだった。
※この作品は06年12月2日より渋谷:シネ・ラ・セット、横浜:シネマ ジャック&ベティにて公開中です。
【聞き手・構成:サーチナ・恩田有紀】
(C)サーチナ
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