●任賢齊:来日ライブで「音楽はノー・ボーダー」(2006/12/12)
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 8日、「日中文化フェスティバル2006」の一環として、台湾の実力派歌手、任賢齊(リッチー・レン)が来日。練馬文化センター(東京都練馬区)大ホールで初の日本単独コンサートを行った。コンサート中、「音楽に境界線はない」との想いを体現し、観客との一体感を深めた。

 リッチーはコンサート終了後にファンミーティングをはさみ、記者会見を行った。コンサートの感想について、リッチーは開口一番「とてもエキサイティングだった」と語った。リッチーによれば、台湾で開くコンサートはもっとダンサーをステージ上に配置するなど華やかなパフォーマンスが多いという。それに比べて、今回の来日コンサートは規模としては小さいほうで、純粋に歌のみで聴かせるというステージ構成は外国の観客を前にして難しいところもあっただろう。

 しかも、リッチーにとって初の日本単独コンサートだった訳だが、「自分の歌をよく知っている人が多くて嬉しかった」と、日本でのコンサートに確かな手ごたえを感じたようだ。事前に考えていたセットリストから大幅に曲目を変更したが、それも「観客とできるだけ楽しさを分かち合えるような選曲をしたかったから」と語った。

 「クリスマスの予定は?」との質問には、「大体いつも仕事なんだよ、ライブとかね」と答え、「今年は仕事しなくてもいいんだろうけど、でも多分スタジオでレコーディングしていると思う」とリッチー。「ふつうはクリスマスには特別な思い出があったりするものなんだろうけど、僕はいつも仕事していたことしか思い出さない。それがちょっと寂しいよね」

 ところで、日本には仕事よりもプライベートで来ることが多いというリッチー。日本については「街並みもきれいだし、人々も礼儀正しく、来るたびに何事にもとらわれずに自由に過ごせる感じがしていい」と好感を抱いている様子をみせた。また、日本の文化からは学ぶべき多くのことに出会える点に魅力を感じているとして音楽、芸術などを挙げたが、「あと食事もね」と付け加えて会場の笑いを誘った。

 コンサートでリッチーは「上をむいて歩こう」を歌い、中島みゆきの「幸せ」をカバーした「傷心太平洋」を、途中から日本語で歌った。日本語詞については、丸暗記のため「よく意味を理解しているわけではない」と正直なところをこぼした。「傷心太平洋」については、「中島みゆきさんがこの曲のカバーを認めてくれたことに感謝している」と述べ、この曲のほかにもJ−POPのカバー曲を歌ったことがあり、J−POPにはいい曲があると語った。

 また、「金城武くんも言っていたんだけど」と前置きして、「日本に来て、日本の監督やアーティストと多く知り合えるチャンスは得がたいものだ」とし、音楽面にとらわれず日本のさまざまなジャンルの表現者との交流を深めていきたいという思いをあらわにした。

 最後に、「音楽面で多文化をどのように吸収しているか」との質問がなされた。リッチーは、もともと台湾歌曲は日本の演歌の影響を強く受けているということや、最近の台湾では日本と同じように若者の間でヒップホップやブラック・ミュージックが浸透していることを紹介。自分に関してはフォークミュージックがルーツにあり、日本のアーティストではゆずに興味を持っていると話した。

 ただし、リッチーは「音楽に境界線はない」という考えを持っており、「さまざまなジャンルの音楽に触れ、吸収したいと思ったものは積極的に取り入れ、上手く自分と合わないと思ったものはしばらく時間を置いてというふうにしている」と語った。音楽を通して国の違いを超えて分かり合えることを、リッチーはこの日のコンサートで体現してみせたといえるだろう。
(Text by葉月野)

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