●ダンカン・チョウ『靴に恋する人魚』 寡黙な瞳の訳(2006/09/20)
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李芸嬋(ロビン・リー)監督のちょっとシュールなラブストーリー『靴に恋する人魚(原題:人魚朶朶)』で、主人公のドド(ビビアン・スー)が一目ぼれする歯科医のスマイリー役を演じた周群達(ダンカン・チョウ)。
04年の大ヒット作『僕の恋、彼の秘密(原題:17歳的天空)』で演じたゲイのプレイボーイ役とは打って変わっての、控えめ演技。「人魚姫」や「白雪姫」など、童話のエッセンスを散りばめ、個性的な俳優たちの「ちょっと寝ぼけ気味」の演技が存在感を放ちまくる作品の中で、ダンカンの黒目がちな瞳は、ただただ寡黙に優しく、愛する女性を見つめ続けるのです。日本公開を控えた9月7日、PRのために来日したダンカンが、この映画と彼自身のことを語ってくれました。
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――今作で演じた「スマイリー」は妻のドド(ビビアン・スー)が朝日で目を覚まさないように頭の上に帽子を積み上げて影を作ってあげたり、ものすごく優しい男性ですよね。
「僕――、もともとそういう男ですよ。いやいや、冗談(爆笑)。台本を読んだ時、この役を演じるのは難しいな、と思いましたね。観てくれる皆さんにわざとらしい印象を与えてはいけないし。演じすぎたら嘘っぽくなってしまってロマンチックじゃないから。その辺をどう演じるか、監督とよく話し合いました。
映画全体は童話っぽいんだけど、監督からはこのスマイリーという男自体はそういうんじゃなくて、自然に、普通に演じてほしいと言われたんです。僕もなるべくリアルに、淡々と演じたつもりです」
――ビビアンさんと共演でしたが、撮影中はどんな感じだったんですか?
「すごく楽しかったですよ。ビビアンさんは経験豊かな役者で、演じるのにひとつひとつよく考えるタイプ。ドド役の彼女は普段の彼女とはまったく違うんです。ちょっと油断したら本当に好きになっちゃうぐらい素敵な女性ですね」
――ビビアンさんはこの作品のオファーを受けた時、笑顔の素敵な「スマイリー」を演じるのはダンカンさんしかいない!と感じたそうですね。「素敵な笑顔=ダンカン・チョウ」というイメージを、ご自分ではどう思いますか?
「僕自身は、笑ってない時の方がカッコいいと思ってるんですけど……(笑) 全然自信はないんですが、笑顔がいいとはよく言われますね」
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――童話みたいなストーリーの中にカワイイ小道具が散りばめられていて、女性ならきっと好きになる映画でしょうね。
「彼女と観に行くのにぴったり! とてもロマンチックで暖かい作品に仕上がりましたね。僕自身がああいうスイートな生活をしたいとは思わないけど(笑)」
――映画の中のスマイリー役と実際のダンカンさん。似ているところと違うところは?
「僕はあんなに我慢強くないし、彼女に対してあれほど穏やかに接することはできないかなぁ……。実際の僕はもっと怖いかも。まだまだ修行中ですよ。本当に恋人がドドみたいに靴ばかり集めているような人だったら、別の彼女を探しに行くかも(笑)。似ているかな、と思ったのは好きになった女性に積極的にアタックしていくところですね」
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――ロビン・リー監督はどんな人でしたか?
「とても若くてキレイな女性なので、最初に会った時には女優さんみたいだな、と思いました。でも実は、今までに映画界でいろんな経験を積んできていて、撮りたいものがとてもはっきりしている。おまけに台湾大学で動物学を勉強していたなんて、なんかちょっとヘンな感じ。今回の映画は彼女の長編デビュー作なのに台湾映画界の中でもうすでに特別な存在になっているんですよね。これからもっともっと、面白い、スペシャルな作品をたくさん撮ってくれると思います」
――ダンカンさん自身は香港人ですが、台湾映画界での活躍が目立っていますね。台湾と香港の映画界で違うと感じることはありますか?
「言葉や脚本のスタイルとかストーリー運びとか、確かに違いはありますが、仕事としてはそんなに違うとは感じません。とにかく自分が与えられた仕事をしっかりやることが大事という意味では同じだと思うし、いい作品を撮りたいと思ったらどこでも同じなんだと思いますね」
――これから、監督に挑戦してみようという気持ちは?
「やるとしたら僕はやっぱり、ウィンドサーフィン関係のビデオかな? テクニックを教えるみたいなやつね」
実は、ウィンド・サーフィンは元香港代表という腕前。日焼けした肌にチョコレートみたいな瞳がとろり。映画の中のスマイリーよりも実はちょっとワイルドな雰囲気のダンカンは、これからのアジア映画をもっともっと魅力的にしてくれる、とっておきのお菓子みたいな存在なのでした。
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◆◆靴に恋する人魚(原題:人魚朶朶)◆◆
車椅子の少女・ドドは足の手術を受け、歩けるようになりました。やがて、靴を買うのが大好きな美しい女性に成長します。ある日、突然歯が痛くなったドドは歯医者で歯科医のスマイリーに出会います。2人は30回のデートを重ねた後、結婚することに。でも、幸せなはずの2人の生活に突然、大きな悲しみが訪れるのでした。笑顔を失ったドドにスマイリーは? ドドが昔、見た夢の中で魔女が言っていた「幸せとは黒い羊と白い羊を手に入れること」という言葉の意味は−−?
香港のトップスター劉徳華(アンディ・ラウ)がアジアの若手監督たちを支援するため発足させたプロジェクト「亜洲新星導」の第1回作品として完成したこの作品は、05年の台湾金馬奨で最優秀美術賞を受賞。女性監督らしい細やかな演出と童話のようなストーリー展開、カワイイのにシュールな棘が痛い愛の物語をビビアン・スー、ダンカン・チョウ、朱約信(猪頭皮)ら、個性的な面々が演じています。
日本では06年9月9日から新宿武蔵野館ほかにて上映。
(Text&Photo:恩田有紀)
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