●トニー・ヤンが語る『夢遊ハワイ』と「素」の僕(2006/09/06)
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 純朴なゲイの青年の初恋を描いて大ヒットした台湾映画『僕の恋、彼の秘密(原題:17歳的天空)』に主演し、若手演技派俳優として一躍、注目を集めた楊祐寧(トニー・ヤン)。その彼の第2作目『夢遊ハワイ(原題:夢遊夏威夷)』が現在、東京・新宿武蔵野館で公開されている。1作目のコミカルな演技からは打って変わった「素」の表情。台湾の普通の若者の、ちょっと変わった夏休みを描いたこの作品に漂うのは、南国の湿った空気と、ほんのりとした痛みだ。楊祐寧(トニー・ヤン)自身がこの映画への思いを語ったインタビューの前編。「素」の彼がところどころに顔を見せます。

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――タイトルを聞いた時にはハワイを舞台にした映画かと思ったのですが、まったく違う、台湾の若者たちのひと夏を描いた作品ですね。

 「実は最初、この映画のタイトルは『バカの夢』だったんです。ある時から『夢遊遊夏威夷』に変わったので、僕たち役者やスタッフもハワイに行けるのかと思って大喜びしたんですよ。でも、そうじゃなかった……。

 徐輔軍(シュー・フーチュン)監督になんでこのタイトルになったのかと尋ねたら、ハワイはきれいなビーチに太陽が降り注ぐ、とても美しい場所だ、と。監督自身もハワイには行ったことがないけど、憧れの場所だと言うんです。誰にでも美しい時代があって、憧れの場所がある。この映画ではそんな憧れを持っていた頃の純な気持ちを描きたい、ということでこのタイトルにする、と説明してくれました。

 でもやっぱり、ハワイってきれいなビーチに涼やかな風が吹き渡って、ビキニの女性たちがたくさんいて、ってイメージで、僕も行ってみたいなぁ!(笑)」

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――初めてこの作品の脚本を読んだときの感想は?

 「監督は僕のことを考えながら脚本を書いたらしいんです。監督と初めて一緒に仕事をしたのはテレビドラマ『又見橘花香』の時だったんですが、実はその頃は監督のことが嫌いでした(笑)。撮影のテンポがゆっくりだからいつも家に帰るのが遅くなるし……。でもだんだんと監督の考えが僕と似ているということが分かってきて、友達になった。

 この映画は監督が昔、実際に見た夢がベースになっているんです。監督は夢に出てきた同級生の女の子には会いに行かなったんですが、この作品を通してその夢を完結させたい、と。僕自身も似たような経験をしたことがあったので、ぜひやりたい、ということで出演を決めました。

 でも、最初はどう演じたらいいか分からなかったんです。監督から『大丈夫。君のいちばん柔らかいところを出してくれればいいよ』と言われたら気分が楽になって。共演した他の3人とも仲良くなったし、とても自然で純な雰囲気が出せたと思います」


――今回演じた「阿洲(アーチョウ)」はとても純粋で素朴な青年でしたが、トニーさん自身と似ている部分、違う部分はどんなところだと思いますか?

 「阿洲はとてもいいヤツ。僕は、亜洲が昔の同級生で今は精神科病院に入院している陳欣欣(チェン・シンシン)と接するシーンをどう演じたらいいのか迷いました。恋人みたいに愛するのか、それともただの同級生として面倒を見たらいいのか……。そんな時、監督は『子供に接するようにしたらいいんだよ』と言ってくれたんです。彼女が泣いている時にはなにか食べさせてあげて、だだをこねていたら一緒に遊んであげる。そうしたら自然にできるでしょう、と。そうか、と思いました。そうやっているときの阿洲は、僕の素の部分が出ているのかもしれませんね。

 違うと思うところは……、阿洲は物静かで、穏やかなヤツだけど、実際の僕はちょっとウルサい(笑)」

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――共演した陳欣欣役のチャン・チュンニン、兵役仲間の小鬼役のホァン・ホンセン、クンフー役のホァン・タイアン。3人はどんな人たちでしたか?

 「彼らのことは共演前から知っていたんですが、仲がいいという関係ではなかったので、撮影が始まる前の大体は1カ月ほとんど毎日、ミーティングをしたり、一緒に食事をしたり、飲みに行ったりしていました。撮影が終わって2年以上経っていますが彼らとは今でもいい友達です」

――クライマックスの部分は実際に台湾東部の海辺の町、花蓮で撮影したんですか?

 「花蓮と台東の辺りで。あの辺は台湾で一番きれいな場所だと思います。人が少ないから汚れていない。海は真っ青だし空気もきれいなんですよ。

 ロケ地の近くの小さな民宿に監督や共演者たちと合宿しました。船みたいな形をしたかわいい民宿。撮影にはだいたい1カ月かかったんですが、誰も『台北に帰りたい!』って言わなかった(笑)。毎日毎日、脚本のこととか、自分の経験とかを話し合った。そんな風にして、この作品をみんなで創っていきました。花蓮は、そんな楽しかった想い出がたくさんつまった場所です」  ※この続きは9月6日夜に公開いたします。


◆◆夢遊ハワイ(原題:夢遊夏威夷)◆◆
 軍隊からの退役を控えた阿洲(アーチョウ)はある夜、小学校の同級生の女の子・陳欣欣(チェン・シンシン)の死を夢に見る。阿洲はその夢が何かの暗示だと思い、彼女に会いに行こうと考えていた。そんなある日、軍隊の新人の脱走事件が起こり、阿洲と仲間の阿洲(シャオグェ)にその行方を追う任務がまわってくる。

 休日という名目で脱走兵探しをする2人。阿洲は気になっている陳欣欣の実家を訪ね、彼女が精神科病院に入院していることを知って会いに行く。病院から抜け出し、阿洲に付いてきてしまった陳欣欣。そして3人は脱走兵の実家がある台湾東部の海辺の町・花蓮へと向かうのだった。
(Text&Photo 恩田有紀)

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