●劇団四季『キャッツ』のスゴ腕猫!蔡暁強の素顔って?(2006/07/26)
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1983年に初演して以来、6000回以上の公演を重ね、劇団四季の人気演目となっている『キャッツ』。ルックスも性格も様々な猫たちの世界観をぎゅっと凝縮したこのステージで歌い踊る「猫」たちのうち、実は約3分の1のキャストを中国や韓国からやってきたダンサーが演じているのをご存知だろうか。

 バネのような身体で縦横無尽に飛び回り、猫たちの世界に奇跡を起こすマジシャン猫・ミストフェリーズを演じているのが、湖北省出身のダンサー、蔡暁強(ツァイ・シァオチァン)だ。今や、「『キャッツ』のミストと言えば蔡さん!」「スゴ腕なのにキュート!!」と劇団四季ファンの間で人気も高い彼の素顔に近付くべく、楽屋裏にお邪魔した。

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■ミストフェリーズと僕、やっぱり似てるかも

――5歳の時にダンスを始めたそうですね。どうしてダンスを?

「きっと、生まれつき好きだったんでしょうね。幼稚園の時から、音楽を聴いたら自然に踊りだすような子供でした。それで、幼稚園の先生とか親がダンスのレッスンに通ったら?というので、始めたんです。まだ5歳だから最初はまず柔軟とかリズム感をよくするような練習でしたね」

――本格的なダンスはいつぐらいに始めたんですか?

「12歳で武漢市芸術学校に入学してからですね。バレエを基礎に、中国の京劇をベースにした古典舞踏や民間舞踏も含めて、毎日毎日、ダンスの練習をする生活が始まりました」

――四季に入ったのはどういうきっかけで?

「芸術学校を卒業後、武漢市歌舞劇院に1年いたんですが、四季が北京で『美女と野獣』の公演をやるというので、オーディションに参加したのが、四季との初めての出会いです。実は友達がオーディションのことを教えてくれて、その人について見に行ってみた、という感じ。僕自身は大学に進んでもっとダンスの勉強をしようと思っていたのでね。でもーディション会場に入ったら、担当の人が僕も参加者だと思って応募用紙をくれたんですよ。なりゆきで書き込んで、テストに参加しました。それで結局、友達は受からなかったけど、僕が受かって!(笑)」

――そのお友達にはなにか言われませんでしたか?

「いやいや、特に。『悔しい!』とは言ってましたけどね。まぁ、こういうことってやっぱり、縁っていうやつなんでしょう」

――合格した時の気持ちは?

「もちろん、嬉しかったんですが、何も準備していなかったので、えーっ?っていう感じでした。その時はミュージカルってどんなものかも全然知らなかった。でも、その時に初めてジャスダンスを踊ってみて、面白いな、と思ったんです」

――その公演に出演したのがきっかけになって、日本に来られたんですね。今ではもう、『キャッツ』のミストフェリーズと言えば蔡暁強、というぐらい、強烈なインパクトを与えていますよね。

「あぁ(笑)、なんだろう? 僕の体の条件とかキャラクターがミストフェリーズに近いから、ぴったりの役だ、とはよく言われます。性格的にも似ているかもしれませんね(笑)」

――すごいことを笑顔でさらりとやってしまうところとか?

「実は難しいことをやっていても、お客さんにその大変さを見せたくはないな、と思っています。あぁ、キレイだなぁと思ってくれて、自分もできそうだな、と感じてくれるぐらいがいいかな、と。日本で『キャッツ』の公演を観た時に『絶対にミストフェリーズの役をやりたい!』と直感しました。練習を始めてみて、体力をつけないと厳しいな、と思ったので、3回連続であのナンバーを踊って練習したりもしましたね。その時はさすがに相当きつかったけど」

――体を鍛えるトレーニングもしているんですか?

「あ、いや、トレーニングは好きじゃないんです(笑)。ダンスのレッスンの中で腹筋とか背筋を意識しながらやるという感じ」

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■劇団四季の仲間たち、そして未来の僕

――公演に忙しい日々だと思いますが、休みの日にはなにをしていますか?

「とても難しい作品をやっているので、休演日にはできるだけ仕事と関係ないことをして、気持ちをリラックスさせたいと思っています。ずっと同じことをやっていると疲れもたまるしストレスも感じてきてしまうから、自分の中に波をつくってあげようと。『キャッツ』以外の音楽を聴いたり、映画を観たり、緑の多い場所で静かに過ごしたり、ですね。動きの激しい舞台をやっているから、それ以外の時間はなるべく静かにしていたい、という感じです」

――ところで、キャストの中には日本人もいれば、中国人も、韓国人もいますが、自分と違うな、と感じることはありますか?

「それはないですね。同じ空間の中で、同じ音楽を聴いて、同じ歌詞を歌っているから、違和感はありません。キャスト同士は仲がよくて、本番でなにか問題点があったらみんなで話し合いながら解決していくし、本番が終わったらご飯も食べに行きますよ」

――蔡さんにとって、「劇団四季」とはどんな存在ですか?

「すごく巨大な存在。アジアだけじゃなくて、世界にこういう劇団・団体ってあんまりないですよね。ブロードウェイだと、一つの公演のためにダンサーを集めるけど、終わったらみんなバラバラになる。四季は同じメンバーを抱えていくつもの演目を年間数千回も上演しています。それから、僕らみたいにミュージカルがどういうものか知らなかったダンサーたちにたくさんのことを教えてくれている。劇団四季と浅利慶太先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

――これからの目標は?

「がんばって、外国人としてトップのレベルを目指したい。もっと色々な役を勉強して、挑戦したいなと思います。『キャッツ』はもちろん好きですが、年をとって踊れなくなった時に他の役もできたらいいですね。あと、必要ならば中国でミュージカルを目指す人とか、まだ観たことがないという人たちに色々と教えてあげて、中国のミュージカルを世界のレベルにしたいとも思います」

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【プロフィール】
蔡暁強(ツァイ・シァオチァン)……湖北省出身。1999年、『美女と野獣』の北京公演に出演。日本では2000年、『ミュージカル李香蘭』で四季の初舞台を踏む。アクロバティックなダンスを得意とし、『キャッツ』ではマジシャン猫のミストフェリーズを好演中。『劇団四季ソング&ダンス』ではダンサーパートで出演し、圧倒的なダンスで客席を魅了。小柄ながら、劇団の中でもハイレベルなダンサーとして定評があり、ダンス系の作品には欠かせない存在となっている。  (編集担当:恩田有紀)
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