●映画の都・香港へ、故レスリーが街を染める(2006/05/08)
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■レスリーを悼むファン

 中華圏を代表する香港スター、張国栄(レスリー・チャン)が自ら命を絶ってから、4月1日で丸3年を迎えた。今でも彼を慕う人は多く、世界中から多くのファンが香港に足を運ぶ。

 レスリーの命日から1週間が過ぎた香港を訪れた。街中は、4月4日に開幕した香港国際映画祭のポスターが至るところに貼られ、映画祭ムードに包まれていた。

 香港のアカデミー賞と言われる「金像奨」と香港国際映画祭の取材で現地入りしていたので、「香港は映画祭一色だった」と強調したかったのだが、観光客に人気のハーバープロムナード、星光大道(アベニュー・オブ・スターズ)を歩いていて最初に目に入ってきたのはレスリーを悼む品の数々だった。レスリーの出演作を年代別にまとめたパネルやポスターの前には、しきりにカメラのシャッターを押すファンの姿があった。

 夜になると香港島の「100万ドルの夜景」が一望できるアベニュー・オブ・スターズ。この海岸沿いを歩いているとほのかに優しい甘さが香った。白いゆりとバラの香りで飾られたメッセージボードだった。ボードに近づいてみると無数のメッセージカードが結び付けられ、「哥哥、永遠愛ニイ(ずっと愛してる)」といった世界各国のファンからの今も消えることのない、レスリーへの熱い想いが綴られていた。

 「アベニュー・オブ・スターズ」にある2軒のキオスクでは通常、成龍(ジャッキー・チェン)の他、TWINS(ツインズ)、謝霆鋒(ニコラス・ツェー)など英皇娯楽集団(EEG)に所属するスターたちのグッズが販売されているのだが、うち1軒にはレスリー専門コーナーも設けられて、熱心なファンたちが足を運んでいた。

■韓流映画が勢力拡大?

 さて、映画の都・香港で最近人気の映画は? と思い、市内の映画館を巡ることに。香港島にある映画館数カ所を回ってみると、上映されていたのは洋画が数本と今回の映画祭のオープニング映画となった「伊莎貝拉(イザベラ)」など。意外にも地元、香港の映画や中国大陸の映画は少なかった。

 近年、香港映画界は「韓流」ブームに押されている、という感が否めない。もちろん香港映画の勢力が弱まっているわけではないのだが、街中を歩いていても韓流映画の力を見せ付けられた気がした。

 その頃香港で話題だったのは、日本でも今月末に公開となる超・韓流映画『デイジー(中国語名:雛菊)』。『猟奇的な彼女』のヒロイン、チョン・ジヒョンと『頭の中の消しゴム』のチョン・ウソンが贈る切ないラブストーリー。街角には『デイジー』のポスター、地下鉄に乗れば電光掲示板に「『デイジー』4月13日公開」との文字も。チムサーチョイの重慶大廈(チョンキンマンション)に設置された巨大なスクリーンにも、プロモーション映像が。前回香港に来た時は、映画『NANA』の映像が流れていた。このスクリーンがあるのは人通りの多い彌敦道(ネイザンロード)。かなりの宣伝効果がありそうだ。

 香港での韓流の盛り上がりに乗じて、出演者のプロモーションにも力が入っていた。主演の3人は、香港のアカデミー賞と言われる「金像奨」にも登場。レッドカーペットならぬ「ブルーカーペット」を踏んだ。授賞式ではアジア映画賞のプレゼンターとして登場したので、韓国映画が授賞か!? と思わせられたが、雄大な自然が描かれた大陸映画『可可西里(邦題:ココシリ)』が選ばれた。

■映画界もボーダレスに

 韓流ブームに圧倒され、勢力縮小気味? の香港映画だが、「金像奨」では大陸や台湾の「ツワモノ」を横目に杜〓峰(ジョニー・トー)監督の『黒社会』が作品賞を授賞。梁家輝(レオン・カーファイ)自身も主演男優賞を授賞するなど、香港映画の根強い人気と実力を見せつけた。(〓は王へんに其)

 大陸との蜜月関係を築く香港。映画にもその影響は波及している。これからは、大陸映画、香港映画、台湾映画という括りではなく、3つの地域の映画がそれぞれの良さを認め合い、ボーダレスになっていくのでは?(Text&Photo by田村まどか)
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