●王力宏29歳、「美しき音楽的秀才」からの脱皮(2006/04/25)
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いろんな意味で、「王力宏(ワン・リーホン)も人間だったんだなぁ」と、思った。
2006年日本コンサートツアーのトリを飾る東京公演。名古屋(18日)、大阪(19日)と続いたコンサートの疲れか、出だしのヒップホップパートはぐだぐだなカンジで、スタートダッシュに失敗? その後、懐かしめの「公転自転」や「愛〓等於愛自己」や「不要害怕」でも、アルバムで聴かせるような声の伸びが感じられない。観ていた席が端っこだったからだろうか、バンドの音も低音ばかり妙に響いて聴きづらい。(〓は人べんに尓、以下同)
日本で4月5日に発売された最新アルバム『Heroes Of Earth/蓋世英雄』を聴いて、彼が言う「Chinked Out」の世界を体感。すごい冒険作だ、と感じて、今回のコンサートでも「新しい王力宏」を見せてくれるだろうと期待していた。
98年のアルバム『公転自転』で、「中華圏にもこんなに洗練された音を創る人が!」と衝撃を受け、2000年頃に香港のある大学のホールで開かれたコンサートを観に行った。これまた衝撃! ピアノだけでなく、ギターも、ヴァイオリンも、ドラムまでこなす。もちろん、歌は完璧。「この人は、音楽ロボットだ」と思ったものだった。
あれから5年。王力宏はバラードやさわやかポップス路線での成功を基に、京劇など中国の伝統音楽とヒップホップを融合させた独自のスタイル「Chinked Out」を打ち出した。それを掲げての今回のコンサートだったが、東京公演だけを観た限りでは、まだまだそれを消化しきれていないのかな?と、感じた。
彼はここ数年、役者としても活躍し、今年6月公開の日本映画『真昼ノ星空』では実にセクシーな演技を見せている。でも、ここが中華圏のミュージシャンのツラいところ。人気者は音楽だけやっているわけにはいかない、という現状がある。
と、厳しいことを書いてきたが、私が「王力宏も人間だったんだ」と思ったもうひとつの理由には、コンサート後半から、温かくて陽気な、言ってしまえば子供みたいな彼のキャラが前面に出てきたことがある。
白いグランドピアノとの熱烈なからみを魅せたジャズテイストの「Love Love Love」。ちょっと危うい日本語で歌った「愛にゆこう」は、女の子たちのハートを絶妙にくすぐる。
アンコール1曲目の「不可能錯過〓」ではカーニバル気分で盛り上がった会場を「シーッ! シーッ!!」と言って静まり返らせ、自分がいびきをかいて寝ちゃう、というオチで笑わせたり。それから、公演終了後も会場を去らずに「Happy Birthday」を歌って来月の彼の30歳の誕生日を祝うファンたちの声を聞いて、ラフなパーカー姿でステージに戻ってきてはプレゼントを受け取ったりもした。
それまでの「音楽的秀才」というキレイなイメージを打ち破り、彼は今、自分の中に流れる中華的な血にぐっと近寄って、その血の色まで見せようとしている。中華圏の音楽シーンをリードするミュージシャンとして、常に人々に斬新な喜びを与えようとするサービス精神と使命感ゆえに生まれる悩みもあるだろう。そのあたり全部ひっくるめて、「第二の思春期」みたいな彼の姿を見守っていくことにしたい。(編集担当:恩田有紀)
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