●華流開花宣言!(その2)F4人気｢回遊魚｣現象(2006/04/18)
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台湾に限らず中華圏を訪れた時､日本の漫画やｷｬﾗｸﾀｰをよく見かけるという経験をした方も少なくないと思う｡作る側だけでなく受け取る側の人々も､日常的に日本のｴﾝﾀｰﾃｲﾝﾒﾝﾄ作品に−−意識的･無意識的のどちらにしても−−親しんでいる｡
日本の作品を受け入れる素地が既にある上に､地元の才能がそれらを『ﾛｰｶﾗｲｽﾞ』することによって､原作のｺｱなﾌｧﾝだけでなく､さらに広い層にも受け入れ易い形にして提供する｡この流れ､よく考えると､香港ﾎﾟｯﾌﾟｽが日本語曲を広東語でｶﾊﾞｰしてﾋｯﾄさせ､地元のｽﾀｰを生んでいった経緯と似通っている｡
F4のｹｰｽはそれにおさまらず､ﾄﾞﾗﾏの主人公が主題歌も歌い､CDを発売するというﾒﾃﾞｨｱ･ﾐｯｸｽ的な動きを見せた｡日本のﾄﾞﾗﾏなどでは以前から行われてきたｽﾀｲﾙであり､台湾の人々も現地のTVで数多く放送されてきた日本ﾄﾞﾗﾏでこうした形を経験している｡台湾のｴﾝﾀｰﾃｲﾝﾒﾝﾄ界は作品そのもの以外に､ｽﾀｰを作るﾉｳﾊｳの部分でも､日本を参考にしている様子がうかがえる｡
特にｱｲﾄﾞﾙに関しては､そうした｢日本の応用編｣があちこちに垣間見える｡例えば､人気急上昇中の楊丞琳(ﾚｲﾆｰ･ﾔﾝ)もやはり『流星花園』などのﾄﾞﾗﾏから人気が出て､歌手活動によい影響を与えた｡
いまやﾄｯﾌﾟ･ｱｲﾄﾞﾙの王心凌(ｼﾝﾃﾞｨ･ﾜﾝ)の音楽ﾋﾞﾃﾞｵなどは､日本独特のﾐﾆｽｶ学生服で踊っている曲もあり､｢可愛(ｶﾜｲｲ)｣と思う感覚まで日本と共有しているのかと思わせる｡
また最近はｱｲﾄﾞﾙという以上の風格が備わってきた蔡依林(ｼﾞｮﾘﾝ･ﾂｧｲ)も､いわゆるﾄﾚﾝﾃﾞｨﾄﾞﾗﾏのような作品に俳優として出演する一方で､CMｿﾝｸﾞや映画のﾃｰﾏｿﾝｸﾞを歌うといった､積極的なﾀｲｱｯﾌﾟを行っている｡
このようなﾌﾟﾛﾓｰｼｮﾝ＆ﾏｰｹﾃｨﾝｸﾞが､いわゆる｢華流｣という言葉が聞かれるようになった時期と重なるように盛んになってきているのは､単なる偶然ではないだろう｡台湾におけるﾋﾞｼﾞﾈｽとしてのｴﾝﾀｰﾃｲﾝﾒﾝﾄの発達と､そのｱｰﾃｨｽﾄの海外進出は､必然的な流れなのではないか｡
そして今､多少なりとも日本の文化が貢献しているであろう台湾からの作品を日本人が楽しむ､還流のような現象が起きている｡そう､日本で昨年秋から放映されたTVﾄﾞﾗﾏ『花より男子』(TBS)は台湾作品のﾘﾒｲｸといえるのだ｡
こうした日本と中華圏をめぐるｴﾝﾀｰﾃｲﾝﾒﾝﾄの流れが輪のようになり､お互いの情報が日常的に伝わるようになると､ﾌｧﾝの動きもその流れに乗って回遊魚のようになる｡
4月8日に台北小巨蛋(＝写真)で行われた｢SONY FAIR ＠ Taiwan｣はｽﾎﾟﾝｻｰであるSONYｸﾞﾙｰﾌﾟのﾚｺｰﾄﾞ会社関連のｱｰﾃｨｽﾄが集合したｼﾞｮｲﾝﾄ･ｺﾝｻｰﾄで､最近の台湾ｱｰﾃｨｽﾄの層の厚さをうかがわせた｡
F4のﾒﾝﾊﾞｰがそれぞれｿﾛで登場したほか､実力派ﾍﾞﾃﾗﾝ歌手の〓澄慶(ﾊｰﾚﾑ･ﾕｰ)や李▲(ｺｺ･ﾘｰ)､若手ｼﾝｶﾞｰｿﾝｸﾞﾗｲﾀｰ系の柯有倫(ｱﾗﾝ･ｺｰ)や黄義達(ｲｰﾀﾞ･ﾎｱﾝ)､男女ﾂｲﾝﾎﾞｰｶﾙ･ﾊﾞﾝﾄﾞの南拳媽媽､抜群の実力と､映画俳優としても活躍するﾙｯｸｽを兼ね備えた王力宏(ﾜﾝ･ﾘｰﾎﾝ)−−今回のｲﾍﾞﾝﾄでは日本の元ちとせとｽﾃｰｼﾞで共演−−など､今､中華ﾎﾟｯﾌﾟｽ(C−POP)を聞く人ならば見てみたいというｱｰﾃｨｽﾄが勢ぞろいだった｡(〓はまだれに臾､▲は王へんに文)
厳密に言えば､出身が香港やｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙだったり､ｱﾒﾘｶでの生活が長かったりというｱｰﾃｨｽﾄもいて､台湾ｱｰﾃｨｽﾄというくくりは完全に正解ではない｡欧米も含めた中華系ｱｰﾃｨｽﾄというのがより正しいだろうが､そうした世界の中華圏を取り込む形で､台湾という地がｱｰﾃｨｽﾄの源流として機能しているのは間違いない｡
この源流に､多くのﾌｧﾝが集まってくる｡今回のｲﾍﾞﾝﾄでも､よい席を確保しようと多くのﾌｧﾝが前夜から会場に列を作って待ち､その中には日本人も少なからず見られた｡こうした光景がすでに珍しくなくなっていることも､華流が定着しつつある証拠といえるだろう｡(Text＆Photo by ささもと･ゆうじ)
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