●J12 小女子十二楽坊、デビューアルバムを聴く(2006/03/10)
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◆天才少女のたちのエレガントなご挨拶−鈴木秀明
 えっ? なんだって? 小女子十二楽坊? 日本でCDデビュー? なんだか、パクリ臭い名前だなあ。
 いや、申し訳ない。全くの誤解でした。あの女子十二楽坊を世に送り出した名プロデューサー王暁京氏が再び送り出した、少女12人による中国楽器ユニット。女子十二楽坊の、いわば「後輩」なのですね。プロフィールを見ると、メンバーは中央音楽学院付属中学、中国音楽学院付属中学、そして中国戯曲学院付属中学の学生さんたち。思わず、鼻息が荒くなる。
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 といってもヘンなことで興奮したのではありません。実はこの私、今を去ること十数年前、留学生として中央音楽学院に在籍したことがある。中央音楽学院、そして付属中学、付属高校に学ぶ生徒・学生さんたちのスゴさを、私ほど知っている人間は日本にはあまりいない、と自負しているワケです。ここは一つ、彼女たちの素晴らしさをご紹介せねばなるまい。
 とにかく、普通の子なんだ。昼休みなんかには、他愛無くじゃれあっている。ところが、楽器を手に取ると豹変。私が北京にいた時期、は中国という国は、楽器演奏のテクニックなんかが、どんどん向上していたころでしたからね。若ければ若いほど上手。ローティーンの学生の中にも、バリバリに活躍している一流演奏家に遜色ないテクニックの持ち主がざらにいた。
 まあ、伝統的な深い味わいなんてことに関しては老師(先生)にじっくりと学ばなければならない。これは当然として、とにかく楽器の演奏を始めると別人。周囲の空気の雰囲気まで変っちゃうんだから。研ぎ澄まされた感性と、超絶的な技巧が火花を散らす。まさに人口13億人の中から選びぬかれた天才少年、天才少女たち。凡人の及ぶところではありません。
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 ということで、8日にリリースされたCDをさっそく入手。いそいそと、プレーヤのスイッチを入れた。
 うーん。思っていたのとはチョッと違うなあ。とってもカワユイ音楽づくりだ。でも「スゴさ」とか「切れ味」は、聞こえてこない。どうしたことだろう。
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 と、聞き進むうちに、妙なことになってきた。なんだか、とってもホンワカと楽しい気分になってきたのだ。「これは、どうしたことか」と考え、ハタと気がついた。「そうか、王暁京氏に一杯食わされた」
 もう一度、聴きなおしてみて確信しました。王先生、彼女たちの天才性をワザとオブラートに包んだな。このCDのサウンドに出ているのは、彼女たちの年齢にふさわしい、素直な音楽性。無邪気さや、自分を育んでくれた周囲の愛情に手放しで信頼を置いている、無垢(むく)な心です。だから聴いているうちに、こちらも心の「こり」がほぐれて、ほんわかとした気持ちになってくる。
 といっても、彼女たちの演奏さの「巧みさ」は歴然としています。民族楽器によるアンサンブル、特に二胡のユニゾンでは高音部の音程が乱れやすいのですが、全く問題なし。安心して聴いていられる。そして、情感あふれるビブラートが彩りを添える。
 リズムなんか、ちょっと聴くとシャープさがないようだけど、実はそうじゃない。妙に刺激的なリズム感覚をわざと放棄しているだけ。でも、肝心な場所を小気味よくピタリピタリと決めている。だから、とても快適。
 考えてみれば、このデビューアルバムは小女子十二楽坊のご挨拶ですな。そうそう、選曲も日本人になじみのあるナンバーばかりだ。ということで、このアルバムには「私たちを好きになってください」というメッセージが込められているわけです。そのためには、等身大の自分たちを披露するのが一番。そんな素直さのおかげで、飛び切りエレガントなサウンドに仕上がりました。
 さて、これから彼女たちは、日本でどのような活動を展開するのでしょうか。デビューアルバムの延長線上にある、純真な音楽なのか、はたまた、天才の凄みを見せてくれるのか。第2作が今から楽しみです。
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