●李連杰(ジェット・リー):『SPIRIT』を最後の武術映画にする理由(2006/03/03)
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 あの李連杰(ジェット・リー)が中村獅童と共演した話題の新作『霍元甲(邦題:SPIRIT)』。3月18日からの日本公開に合わせて、ジェット・リーが来日し、この映画にかける思いを語った。「自分が出演する最後の武術映画になる」と公言しているジェット・リー。さて、その真意は?
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 私が8歳からずっとやってきた武術にかける思いをつぎ込んだこの映画を日本に持って来られたことを、とてもうれしく思います。長い間映画を撮ってきて、そこにあるのはいつも「打」の字でした。でも、一番大切なのは「武」であることなんですよね。人類はいつも戦ってきましたが、戦うことよりも大事なのは、精神なんです。
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 映画を撮るにあたって、世界各地の本物の武術家を役者として集めなければなりませんでした。その中で、一番最後に主人公・霍元甲が対戦する日本人の空手家・田中安野(あんの)の役は、精神的な強さを合わせ持つ人物という設定です。その候補に上がった中村獅童さんは、武術家ではないけれども、8歳から歌舞伎の世界で活躍されている人。武術の腕よりも精神世界を大事にするべきこの役を、彼ならやってもらえると思いました。
 中国語が分からない彼ですが、文化背景が違う中国で、本当にプロフェッショナルな態度で撮影に望んでくれました。この映画のテーマである「自分に勝つ」ことがしっかりできたからこそ、あんなに素晴らしい演技ができたのでしょう。彼はもう、どこの国に行っても通じる役者ですよ。
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 人間が持つ夢というのはいつも、「追求すること」がベースになっています。現代に教育では、「いい学校に入って、たくさん稼げるように」と教えますね。その結果、「社会が悪い」とか、「社長が悪い」とか、外に向けた恨みを持つようになるんです。人生の喜びを求めたり、愛するということを忘れてしまっている。
 霍元甲のように、外に敵がいなくなったと感じると、人間、特に若いときは傲慢になったりするものです。本当の敵は自分の中にいるということを忘れてしまう。決して、相手を倒すことが目的ではないんです。倒さなくてもいい。ただ、自分であることを極めて、自分に打ち勝つとき、本当の幸せを手に入れることができるのではないでしょうか。
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 今、多くの若い人たちが命を無駄にして自殺していきます。とても悔しいことです。人は、命の始まりを選ぶことはできないけれど、勇気を持って最後まで生き抜くことはできるんですよ。
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 何十年も武術映画を撮ってきた身としては、世界の人々に「中国人はいつも戦っている」というイメージを残したくなかった。中国人は平和を愛する民族なのに。だから、私はこの映画の中で、暴力という手法を使いながらも、反暴力を訴えたかったんです。これは私の義務だと思っています。
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 私はこの映画の中で、敵と戦うことを超えて、自分にも勝った武術家を演じてしまいました。武術の道でその段階まで行ってしまったら、もう、その上にあるのは、愛に包まれた静かな世界ですね。そんな武術映画は成り立たないでしょう。
 だから、この映画を私の最後に武術映画にします−−。
(編集担当:恩田有紀・如月隼人)
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