●華流大追跡:ジェイとの偶然の出逢い、相互交流のきっかけに(2005/11/12)
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台湾音楽界の頂点にのぼりつめた「カリスマ」ミュージシャン、周杰倫(ジェイ・チョウ=写真左)。彼の実像に迫る「華流大追跡コラム第三弾」では、筆者自身の体験をご紹介したいと思う。
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実は、この文章を書いている私自身もジェイのいちファンだ。ジェイを知ったのは2000年の冬。「生の中国語を聞いてみたい」「中国の人とせめてカタコトでも意思疎通ができたら」と思い、友人と二人で台湾に足を運んだときだった。
当時中国語でろくに挨拶もできなかった私は、そんな思いを胸に友人と二人でふらりと台湾にでかけた。大学の授業で学んだ中国語を実際に使ってみよう。しかし、実際に現地の人と話してみてよく分かったことだが、教科書の例文に載っている程度の語彙力で、コミュニケーションをとるのにはかなり無理があった。
言葉が分からないからもちろんホテルでテレビをつけても、何を言っているのか全く意味不明。とりあえず映像やたまにでてくる字幕の漢字をみながら、何を言おうとしているのか想像して、かろうじて分かるような状態だった。
ニュースやドラマを見てもよく分からないので、あきらめて音楽番組にチャンネルを変えることに。当時有線でよく洋楽も聞いたりしていたので、海外の音楽にとても興味があった。台湾ではどんな音楽が流行っているのかな? そう思いながらチャンネルを回した。もちろん台湾でどんな歌が流行っているのか無知に近かった。台湾からの留学生に何人か教えてもらったくらいで、特別興味があったわけでもなかった。
台湾の音楽番組をみていてまず気付いたのは、プロモーションビデオがストーリー仕立てになっていること。これがなかなか面白い。特にラブソングなんかは、かなり綺麗な女優さんがでたり、なかなかうまくできていて、リアルだ。
何曲か聴いているうちに、不思議とすんなりと頭に入ってくる歌に出逢った。名前は、「周杰倫」。男性だった。歌詞の意味はもちろんわからなかったが、音楽として、自然と心に残った。中国語の分からなかった友人も「けっこういい歌だよねー」と語り、2人でそのMVを最後まで見続けた。
次の日、街の中を歩いていると、CDショップを発見。台湾では日本のポップスが人気で、モーニング娘。やジャニーズ系など見慣れたアルバムが並んでいた。そんな中、どこかでみたような男性のポスターをみかけた。誰だろう? たしか昨日テレビでみたような・・・
そう、なんだかいい歌だなと思ってプロモーションビデオを見入ってしまった彼だった。せっかく台湾に来たのだし、お土産がてらに買って帰ろう。
その時はまだ、彼が数年後に年間10億円を稼ぎ出すビッグアーティストになろうとは、誰も予測できなかったかもしれない。
ここまで読めばお分かりの方も多いと思うが、当時私が入手したのは、ジェイのデビューアルバム「JAY」。そして、思わず聞き入ってしまったというのが、デビューシングル「可愛女人」だったのだ。
「可愛女人」で鮮烈なデビューを果たしたジェイは、続く4枚のアルバムも驚異的なヒットを記録。台湾音楽界のトップに上りつめた。
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連載第2回目で登場した私設ファンサイトの管理人、八重樫美貴さん(ハンドルネーム:ちゃこさん)は今、世界各地のジェイファンとコミュニケーションを取り、情報交換を行っている。ジェイを知らなければ、このような貴重な友人はできなかったかもしれないし、台湾や大陸、香港などの事情にこれほどまでに興味を持つこともなかったかもしれない。ジェイとの出逢いが彼女の人生を大きく左右したということは間違いないだろう。
日本と中国大陸、台湾をめぐっては、政治的な懸案事項も多いが、依然として中国語を学ぶ人は多い。学習する目的は、「ビジネス」「留学の準備」「話す人口が多い」または、「友人につられて」など様々だ。
ただ、何かを始めるのにきっかけなんてどんなことでもいいと思う。でもせっかくチャンスがあるなら、言葉を学ぶついでに相手の国のことも知ろうと努力してほしい。それが、音楽でも、ビジネスでも社会でも、政治であっても。
ここ最近、「韓流」に続いて「華流」が話題を呼んでいるが、エンタテイメントを通じて、相手の国に対する理解を深めるというのも一つの手。考えてみれば、「韓流」スターの追っかけをする「おばさま」たちも同じで、はじめは、スターのグッズ集めやビデオ鑑賞などから始まり、ついにはツボにはまって、ドラマの撮影地や憧れのスターが生まれ育った国に足を運んでみたいと思い始める。
たしかに相手の国に対して、一面的な理解になってしまうかもしれない。その裏に隠された歴史問題や社会問題などは素通りしてしまう危険性もある。ただ、相互交流のきっかけは相手を知ろうとすること。ならば、音楽やスターを一つのきっかけにしてもいいのでは? スターを好きになって、相手の国の文化やもっと踏み込んだことを知りたくなった。それでも、立派な相互交流だと感じている。(編集担当:田村まどか)
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