●華流大追跡:｢音楽は人生｣ｼﾞｪｲ･ﾁｮｳの実像に迫る(2005/11/10)
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しかし､当の日本では､今年に入ってやっと｢華流(ﾎｱﾘｭｳ)｣という言葉が定着し始めたばかりで､中華圏のｽﾀｰにしても､もちろんｼﾞｪｲにしても､まだまだお茶の間への浸透度は低い｡
｢ﾖﾝ様｣ﾌﾞｰﾑには追いつけない？ いささか盛り上がりをみせたような｢華流｣だが､このﾌﾞｰﾑは本物なのか!？ そう半信半疑な人も多いだろう｡しかも『頭文字D』のﾌﾟﾛﾓｰｼｮﾝが大々的に行われてからはや3ｶ月｡中華圏では､｢ｼﾞｪｲの新ｱﾙﾊﾞﾑ『November’s Chopin/十一月的蕭邦』が発売された(日本盤は06年1月18日発売)｣｢どこどこでｺﾝｻｰﾄが行われた｣と大きく取り上げられているが､日本では｢ｲﾆD｣関連のｲﾍﾞﾝﾄも終わり､まずはひと段落感が否めない｡
ところで､ｼﾞｪｲ･ﾁｮｳのﾌｧﾝにとっては｢常識｣だが､実はｼﾞｪｲの本業はﾐｭｰｼﾞｼｬﾝ｡自ら作詞･作曲を行い､歌唱力も抜群｡劉徳華(ｱﾝﾃﾞｨ･ﾗｳ)､蔡依林(ｼﾞｮﾘﾝ･ﾂｧｲ)など人気歌手への曲提供も行っている｡
日本では､映画『頭文字D』での俳優ﾃﾞﾋﾞｭｰというｲﾒｰｼﾞもあるが､彼にとって音楽は人生であり､音楽なくしてｼﾞｪｲ･ﾁｮｳは語れない｡
このｺﾗﾑでは､ｼﾞｪｲの日本での活躍に大きな期待を寄せている関係者の言葉を交えながら､ﾐｭｰｼﾞｼｬﾝ､ｼﾞｪｲ･ﾁｮｳの実像に迫りたい｡
まず､ｼﾞｪｲの人柄｡ｼﾞｪｲ･ﾁｮｳの仕掛け人であるｿﾆｰ･ﾐｭｰｼﾞｯｸｼﾞｬﾊﾟﾝｲﾝﾀｰﾅｼｮﾅﾙの小泉奈々さんによると､ｼﾞｪｲの魅力は｢意外性｣｡いい意味で､予想を裏切ってくれる､そんな不思議な魅力の持ち主だという｡ｼｬｲで､寡黙で好青年と言われるｼﾞｪｲだが､ｽﾃｰｼﾞ上ではまるで別人のような｢ｶﾘｽﾏ性｣を発揮｡そんな姿をみていると､見えないｴﾈﾙｷﾞｰが秘められているのでは･･･｡そんな思いに駆られるという｡
ｼﾞｪｲの意外性は､人格だけではない｡｢ｼﾞｪｲの音楽には､彼のｽﾀｲﾙやﾎﾟﾘｼｰが明確に表れています｡自分がｱｼﾞｱ人であるということ､ｸﾗｼｯｸ音楽をやってきたという､ﾊﾞｯｸｸﾞﾗｳﾝﾄﾞをちゃんと理解した上で､それを軸にして独創的な音楽を創りだすところが､とてもいさぎよいですね｣｡
日本でのﾃﾞﾋﾞｭｰｱﾙﾊﾞﾑとなった『Initial J』｡ﾌｧﾝなら､すぐに映画『頭文字D』のﾛｰﾏ字表記｢Initial｣と､ｼﾞｪｲ(Jay)の頭文字｢J｣を合わせたと考えるところだが､真相は？ 『Initial J』誕生秘話を小泉さんが語る｡
｢映画『頭文字D』を見て､ｼﾞｪｲを知った人にとって､一つのきっかけとなるよう『InitialD』とかけつつ､ﾃﾞﾋﾞｭｰ盤という意味での『頭文字(Initial)』の意味も｡『J』にも､『Japan』の『J』やJayの『J』など様々な意味合いを込めてつけられたﾀｲﾄﾙです｡｣
｢今まで台湾でも一度も発売をしていない企画盤が､日本で初めて許諾されたという点からも､新しい日本のﾘｽﾅｰにどうしたらｼﾞｪｲの魅力を伝えられるか悩んだ結果､日本独自のﾃﾞﾋﾞｭｰ盤らしい選曲をしました｡今回の映画で初めてｼﾞｪｲ･ﾁｮｳを知った人も楽しめる『頭文字D』の主題曲と挿入曲や､この映画撮影の合間を縫って日本で撮影された『七里香』のﾐｭｰｼﾞｯｸﾋﾞﾃﾞｵも収録しました｣
｢また､日本を何十回と訪れている親日家のｼﾞｪｲならではの『ﾊｲ ﾊｲ ﾊｲ ﾜｶﾘﾏｼﾀ』という日本語が入っている『忍者』も｡音楽的にもｼﾞｪｲの多才さを知ってもらえるようにﾊﾞﾗｴﾃｨに富んだ様々なｽﾀｲﾙの楽曲をあえて選びました｡さらに歌詞も恋愛をﾃｰﾏにしたものだけでなく､ｼﾞｪｲが大切にしている家族や友達との“絆”をﾃｰﾏにしたものも入れることで､ｼﾞｪｲの人間的魅力も伝えられればと思いました｡もちろん選曲には､ｼﾞｪｲ本人の意見も反映されているんですよ｡他に入れたい曲はたくさんありましたが､収録時間に限りがあるので泣く泣く落とした曲もたくさんあります｣
小泉さんの言葉からは､ｼﾞｪｲへの特別な思い入れが伝わってくる｡好きなことを仕事にして､生き生きと働くことは誰が見ても魅力的だ｡次回も小泉さんのｼﾞｪｲ話の続きをお送りする｡(編集担当:田村まどか)
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