●エンタメ最前線:「中華ポップス」魅力発見、なぜにデビット?(2005/11/05)
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「華流」コラム:
〜知っているのは「テレサ・テンだけ」の時代に終止符〜
仕事で中国の人とお会いする機会が意外と多いのですが、ときに会話をしていて困るジャンルの話題があります。政治? お金の話? いや、もっと気軽な音楽の話です。
会話の中で、趣味や音楽の話をするのはどこの国でも同じ。しかし中華ポップスにまったく興味がない私にとっては、これが完全に鬼門。相手は、入りやすい話題だと思って話してきてくれても、逆につまずいてしまいます。
なぜ興味がないか、その理由はいたって簡単。イメージが頭の中にできあがってしまっていたからです。中華ポップスといえば、「アイドルっぽい」「演歌っぽい」「外国の歌のカバーばかり」というそんなイメージが。
しかし会話の中で頻出するこの「中華ポップス」問題。これはなんとかしないといけない。うすうすそう感じてはいました。いつまでも「テレサテンは知ってるよ」じゃいかんだろうと。
そう思っていたところ、中華芸能通の友人がちょうど広東省の広州市へ出張へ行くというではないですか。グッドタイミングとばかりに、とりあえず1枚、お勧めのCDを買ってきてとお願いしたのでありました。
それから数日後。1枚のCDをいただきました。なにやら紙製のスペシャルケースに包まれたご大層な作品。タイトルが「太平盛世」? ジャケットには「陶(吉吉)」と書いてあります。いきなり名前すら読めないな、と思っていると「デビット・タオでよかった?」と聞かれました。
デビット・タオという人か。この漢字のどのへんがどうデビットで、なぜにデビットという名前を選んで・・・いう疑問はさておき、まずは四の五の言わず選んで頂いた逸品を帰宅後聞いてみることにしました。さあ、中華ポップスへの凝り固まった固定観念を破壊してくれ!
しかし普通だ・・・。一度アルバム全体を通して聴いた印象は、別に可もなく不可もなくいたって普通。やっぱりそんなに感動するような曲や、目新しい感触はなかったなあと思いながら、CDをしまいました。
これではいかん。会話に弾みをつけるどころか「すごく普通だと存じます」、の一言で終わってしまう。
確かに今までの中華ポップスのイメージとは少し違っていました。が、正直まだ良さがわからない。どうしよう。仕方ない。まずは他の人の意見を聞いてみることにしよう。そうだ、他力本願だ。さあ、客観的な視点と意見で中華ポップスの魅力を聞かせてくれ!
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最初に意見を求めたのは、中華圏全般のカルチャーが好きな女性。さあさっそく話を伺ってみましょう。「ねえ、中華ポップスってどこがいいわけ?」「魅力を語ってくれません?」
「バカバカしいところ。冗談みたいにジャケットや演出が派手だったりするんだけど、それが聴いてるうちに良くなってくるところかな」
いきなりそんなディープなお楽しみ方法か。ではなに、半分茶化して聴けと? じゃあ次。
デビット・タオって人の曲なんだけど・・・「その人は好き。平井堅も推してる人らしいから」
なるほど、平井堅ファンのこの人にはこの上ないプレミアだ。そういう身近な日本の歌手に推されるとわかりやすいのかも。あとは冗談っぽく軽く構えて聴くべし、と。
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次に男性の意見も聞いてみました。2人目は中華ポップスに興味はまったくない人をチョイス。ギャラリーを経営するその人の職場でデビット・タオをかけました。普段から音楽が当たり前のように流れている環境で働くあなたの意見を聞かせてくれ!
「すごくわかりやすいね。誰かの曲、明らかに狙って真似してない?」 そうそう、どっかで聴いたことのある感じがするんですよね、この人。
「うちはギャラリーだからあまり激しいのはあわないけど、3、4、7(曲目)あたりは流れていてもいい感じだよ」 言われてみれば、ゆったりとした曲調だとタオ氏の歌声が澄んだ感じに聴こえる。これは新たな魅力発見。デビット・タオ、バラードがよい、と。
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その後いくつか意見を聞いた後の帰り道、街を歩いていると、デビット・タオの曲が頭の中で流れました。そういえば中国の人はカラオケが大好きと聞きました。一度聴いて、覚えて、さあ、てめぇら歌うぞっ! ってノリの曲がいいのか。もしかしてこのポップ&キャッチーさも一つの魅力なのでは? そう思い、もう一度聴いてみると。覚える気はさらさらないのにいくつかメロディーを覚えてしまっていました。相当キャッチーな曲を揃えてきている上に、全体的な音のイメージがまとまっていてアルバムとしての統一感もある。
今までの中華ポップスのイメージとは確かにひと味違うのかもしれない、とそんな気分になりました。
といってもまだ中華ポップス1枚目。イメージががらりと変わったわけではないですが、この感想自体が会話のネタに使えるかな、と考えてます。そうだ、大体彼のどのへんが「デビット」なんだい? なんて話も付け加えてみよう。(執筆:白水大悟)
デビット・タオ(陶〓):
本名は陶緒忠。1969年7月生まれ。幼少の頃は、台湾の台北(タイペイ)市で育ったが、現住所は米国ロサンゼルス。好きな歌手はビートルズ、書籍はハリーポッターシリーズ。(〓は吉に吉)
1998年の「第9回台湾金曲奨」で最優秀新人賞、最優秀プロデューサー賞に選ばれた。大ヒットアルバム『黒色柳丁』で「第9回グローバル中国語ヒットソングランキング」の香港・台湾部門で「最も人気のある創作歌手賞」を受賞。「香港第25回十大中国語金曲」でも全国で最も人気のある男性歌手・銀賞などを授賞した。05年1月には新アルバム『太平盛世』を発売。「鬼(中国語では亡者の意)」などが話題を呼んだ。
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