●大陸映画も商業的に!?これからの注目株は女性映画(2005/10/24)
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●「華流」インタビュー
〜通訳者が語る「華流」、スターたちの素顔(其の三)〜
 通訳者、字幕翻訳者として活躍する水野衛子さんに聞く、「華流」インタビュー第3弾。
 連載最終回として、20代後半から30代前半の女性を魅了している香港映画の世界や、経済発展とともに大きな変化を遂げてきた大陸映画など、中国映画をとりまく事情について紹介する。

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●中国圏の映画の流れ
 「同じ武侠映画でもだいぶ変わりました。1960年代の香港の武侠映画は、アクションが少なくて、見せ場もほとんどなかったのですが、その分、セリフできちっと主人公の悩みが描かれていたのです。
 でも最近の映画では、例えば、日本でも大ヒットした『英雄(邦題:HERO)』や『十面埋伏(邦題:LOVERS)』など、時代劇の形式をとってはいますが、いわばラブストーリー。本当の意味での武侠映画とは言えませんね。
●大陸映画は商業的!?
 それから、最近の中国大陸は、商業主義になってきましたね。章子怡(チャン・ツィイー)が主演した『我的父親母親(邦題:初恋の来た道)』は、張芸謀(チャン・イーモウ)監督がチャン・ツィイーに惚れたから作ったというだけで、別にあの映画で稼ごうとは思っていなかったはずです。結果的には稼げましたが・・・
 ただ、『HERO』や『LOVERS』は明らかに商業映画ですね。事実、チャン・イーモウ監督は、「中国映画が生き残る道は、商業映画しかない」と断言していますし。日本の映画市場を切り開いていくためには、仕方がないことかもしれません。
 日本で、『HERO』や『LOVERS』を見た人たちは、「中国映画なんて見たことがない」といった人たちが多かったと思います。だから、こういう映画があったからこそ、中国映画に興味を持ち始めたという人も増えてきたのでしょう。
 中国や香港の映画を好きな人、というと、昔は40代くらいの人が多かったのですが、最近はずいぶん若くなりましたね。「華流」ブームのおかげでしょうか。エンタテインメント的な要素が影響しているようです。
●「韓流」はなぜ強い?
 でも、今の「韓流」ブームが強いのは、一番お金があって時間もある、40−50代の女性たちを惹きつけているからです。逆に「華流」が「盛り上がっているようで、盛り上がりきれていない」と言われてしまうのは、その世代を惹きつける作品がまだ出てきていないからでしょう。映画に限って言えば、女性ウケする作品を作ることが課題ですね。
 ただ、もともと香港には男性の監督が多いので、女性的なものを作るといっても限界があると思います。
●女性ウケする映画とは?
 これから上映されるものだと、陳柏霖(チェン・ボーリン)主演の『五月之恋(邦題:五月の恋)』、それから東京国際映画祭の「アジアの風」でオープニング作品にも選ばれた『長恨歌』(サミー・チェン主演)、チャン・ツィイー主演の『茉莉花開(邦題:ジャスミンの花咲く)』なんかがわりと女性的で、お薦めです。
●大陸・香港・台湾映画、それぞれの魅力は?
 大陸映画の魅力は、映画を通じて中国の社会、現地の人々の生活、そして思想、価値観が分かるところです。香港映画は、というと、現実の世界にはない、フィクションの世界を楽しむことができる、そして彗星のように飛び出てくるスターにも注目ですね。
 台湾映画には、大陸や香港とはまた一味違った魅力があります。台湾では、監督も俳優も、若い才能が目立ち始めているんです。それを実感することができるのが、今ちょうど六本木ヒルズなどで開催されている「東京国際映画祭」でしょう。見ていただければ分かりますが、上映作品はみな、最近の台湾映画の特徴がよく出ていますよ。大陸や香港映画よりも若返りが進行しています。これからが楽しみですね。(聞き手・構成:田村まどか)
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